/自分を知る/空/空が分かると自分が分かる/間違った空の認識から本当の空へと向かっていく/間違った自分を認識する/自分を変えることができない人は空を理解できない/神が見えないのは空を理解していないから/空に近づくと神は遠のく/
2017/1/14 密教セミナー8 |
このメッセージのいいねポイントは |
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空の理解を何度も書き換えていくこと |
①自分だけの空の認識の仕方をみつける
僧侶で修行中の一人としてお話をいたします。密教を学ぶ流れにおいて自分を知るということもとても大切な修行になります。自分とは何者なのか。自分はどこに向うのか。なぜ修行するのか。修行の中心は何であるのか。この学びを続ける上で自分ということがとても大きなテーマになっていきます。
皆さん方は「空(くう)」という世界を学びに入ってきました。空。空を学ぼうとしているものは誰なのか。自分は空ではないのか。空が空を学べるのか。自分はどこまでが空でどこまでは空ではないのか、空ではない自分が空を認識できるのか。空でない自分が認識できるのは空でないところしか無理なのではないか。いろんなものが空を学ぶ上において自分と空とのぶつかり合いが起こってきます。
今皆さん方が頭で考えている。頭で考えていること。これは何なのか。ただ言葉で頭を巡っている。何のために頭で言葉が動き回るのか。頭の中で言葉が動くということは宇宙とどういう関係があるのか。皆さん方が本当の自分を知るために空を理解する必要があるのです。いわゆる空を完全に理解できた時自分を理解することができます。
空を理解しない限り自分を理解することはできません。しかし空を理解するためには今の皆さん方の自分という意識がどうしても必要でしょう。しかしこの自分という意識が間違った解釈ばかりをもたらしてきます。分かった振りにさせる、分かったような気になる、分かった感じがする。これがすべて虚構であり、嘘であり、まやかしとなります。
空はこうなのだ、これが空なのだ。そういう間違った空をこれから何百回も何千回も体験していくでしょう。しょせん自分が理解できる空は間違った空しか理解できません。しかしこの間違った空を理解するたびに自分自身を空に近づけていきます。なぜ間違った解釈をするのか、自分が空でないからです。
自分が空でない限り間違った空しか理解できません。間違った空を解釈するたびに自分自身を本来の空に近づけていく。それによって間違った空を理解でき、それは空ではないと認識できます。では空は何なのか、また取り組んでいきます。これが空だ、こうやって認識した時、また自分の中の自分でない間違った自分が空をつくり上げていきます。
これは間違った空である、それを理解するたびにまた自分自身が空に近づき、本当の空をまた理解できるようになります。これの繰り返しでしょせんは自分自身と空との闘いになります。したがって自分という意識をずっともち続けている人、私はこうだ、私の考えはこうだ、こうやって自分という意識に執着している人は、空に近づくことはできないでしょう。
空に近づくためには自分を空として認識する。自分自身を間違いと思って理解し、さらなる空へと近づけていく。この自分を空に近づけることによって本当の空が理解できるようになっていくのです。自分が空に近づく、そのためには間違った自分をどんどん見つけていき、空なる自分へと近づけていく。この作業が必要となります。
これを行なうためには常に自分との闘いであり、間違った自分を見つけること、自分自身を新しい自分につくり変えていく、この作業が必要となります。自分の考え、自分の認識の仕方、これがこれまでの自分と同じままでいると自分は成長することはできず、空に近づくこともできません。
空を理解しようとすれば常に自分自身を改めていく。自分自身をつくり変える、高めていく。これまでの自分とは違う自分をつくり出し、さらなる空に近い自分へとつくり変えていく。この作業を何度も何度も何度も続けていく必要があるのです。したがって自分を変える勇気のない人は空を理解することは難しいでしょう。
自分を変えたと口で何度も言っても何も変わっていない人もたくさんおります。自分では変わったつもりになっていても、心の深いレベルで何一つ変わっておらず、結果的に同じような言動を何度も繰り返す。同じような問題を何度も続けていく。これは変わったと自分が勝手に思い込んでいるだけであり、本質は何一つ変わっておりません。
自分が変わらない限り意識レベルが上がることもなく、空に近づくこともできません。空に近づくためには意識レベルも上がっていく必要があります。言動を変え、意識を変え、空へ空へと近づいていく。そのためには自分自身も空へ近づき、本質へ近づき、本来の神なる元へと進んでいくのです。自分自身が神に近づく、それと空を認識する。これはほとんど同じ作業といえるでしょう。
自分は神であるということを実感するために、どんどん空へと近づいていく。今の自分にとって神なるものは見えない、聞こえない、感じられない、そういう意味での空なる存在になっているでしょう。しかし自分が本当の神に近づいていくと、本当の神が感じられてきて見えてきて、分かるようになってきて、それでなおかつ本当に空なのだということが理解されるようになっていきます。
神を知れば知るほど神は空となって遠のいていきます。それは自分を知ることと同じであり、自分を知れば知るほど自分自身が空になり、自分が遠のいていきます。なぜならば本来の自分に近づけば近づくほど、本来の自分は宇宙よりも大きく、銀河系よりも大きい自分に気づいていくからです。ただの人間ではなく広大な宇宙が自分である。そのためにまた自分自身が空になっていくのです。
神を理解すること、自分を理解すること、それは空を理解することと同じことになります。そういう意味において自分も空であり、神も空であり、神の創造するすべてが空であり、すべてが自分の空という意識の中に一体化していきます。でもそれによって空がすべてであり、すべてが空である、この本質が理解されるようになっていくでしょう。
初めのうちはいろんな書物や、いろんなもので空を学ぶのも良いでしょう。しかしある段階を過ぎたところであらゆる書物が意味がない、あらゆる書物に空が書かれていない、そういったことが分かるようになっていくでしょう。しょせん自分自身を空に近づけることが目標であるために、自分のことはどの書物にも書かれていないからです。
自分を理解するためには自分で取り組むしかありません。こうやって自分自身が自分と向き合い、自分を空に近づけることによって本当に空が理解されるようになる、この本質をしっかりと理解して、空の学びを進めてしくようにしていってください。
Aさん、あなた自身の空の学びにおいて、まだどうしても知識で理解してそこから空に達しようとする意識が強く影響を与えております。まず分かってから理解してから空に入っていく、しかしこのやり方だと間違った空の概念、特に一番最初に身につけた空の概念がずっと後にまで影響を与えてしまい、あとで修正することがとても難しくなります。したがって初めはとりあえず何か形だけを理解しようとする意識そのものも捨てていき、初めから分からないまま取り組んでいく、その姿勢の方が本来の空に近づきやすくなります。そういった意味で取っかかりというものをもたないような心を身につけるようにしていってください。
Bさん、あなたにとって空を理解するためには、日常生活の一つひとつに意識を向けながら、それが空とどういうつながりをもっているか、見えるもの、感ずるもの、いろんなものを明確に感ずる中で、これがなぜ空なのか、それを一つひとつ自分で考えを進めていってください。ありきたりの考えだけではなく、今手でしっかりと感じている、しっかりと見えている、なぜこれが空なのか、見えているという意識、それがどこから来るのか、ぶつかるという意識、匂いという意識、それぞれどこから来るのか、自分の意識が空とどういう関係をもっているのか、それを使うことによってそこから空というものをだんだん本質的なところが理解できるようになっていきます。自分が一つひとつから感じられる意識、それをうまく使って空を感じていってください。
Cさん、あなたが空を理解するためには、これまで自分が感じていた宇宙の世界、空なる世界、天の世界を感じていきながら、いわゆる天の世界と物質世界がどういう関係になっているのか、宇宙と地球がどういう関係になっているのか、全体と部分、上なるものと下の部分、この関係で空を感ずるようにしてみてください。空を空のように思わせるものは二つのものから構成されるからです。この相反する二つのもので空でないものを空であるかのように見せていく、空でないものを空であるかのように見せていく、この関係を理解するために天なるもの、地なるもの、宇宙なるもの、地球なるもの、これをうまく感じながら空を見抜いていってください。
Dさん、あなたの空の学びにおいて、基本的には日常生活の中で五感で感ずるもの、心で感ずるもの、明確に感じながらもこれがないということはどういうことなのか、明らかに物質的に反応し、明らかに心であるのに、これは空ということはどういうことなのか、まずそこからしっかりと考えを進めていってください。そもそもあるということはどういうことなのか、ないということはどういうことなのか、ないということと空の違いは何なのか、空自身はあるのかないのか、これを日常の中から一つひとつ紐解いていき、ある、ないという関係と空という関係、これを自分なりの理解の仕方で納得できるようにもっていってください。
Eさん、あなたの空の学びにおいて、自分自身の五感で感じられるもの、特に見えるものや味わうもの、こういったものにおいてのさまざまな変化を感じていってください。味でもほんの少しの違いの味、何かを加えるだけで味が変わる、何かを変えるだけで見えるもの、見た感じが変わってくる、この変わるということは何が変わっているのか、変わったように感ずる、変わったように見える、変わったように味わう、これは何が変化しているのか、いわゆる自分が変わって変わったように感ずるのか、対象が変わって変わったように感ずるのか、何が変わっているのか、変わっているということはどういうことなのか、こういったところを見抜いていくとそもそも本質的なものは何なのか、感じようとしている自分は絶対的なものなのか、感じようとしている自分は変わらないものなのか、そういったところから空というものを感じとれるようにしていってください。
Fさん、あなたの空の学びにおいて、天なるものと地なるもの、この二つの関係の中で空自身はどこに存在するのか、自分はいろんな二極性を学んでいる中で空はどこに存在するのか、空を理解するとなぜ二極が統一されるのか、空が分かるとなぜ二極から解放されるのか、空を理解するとなぜ苦しみから解放されるのか、空を理解すると苦しみから解放されるというよりも、苦とか楽とかいう認識から解放される、空は我々の苦や楽や、他のさまざまな感覚にどういう影響を与え、何のために苦が存在するのか、そういった観点で空に取り組み、自分自身の空とのかかわり方を身につけるようにしていってください。
Gさん、あなたの空の学びにおいて、空自身は自然の中のどこにでも存在しております。見えるもの聞こえるもの感ずるもの、あらゆるところに空が存在しています。自然の中に空が存在しているのか、それとも認識した途端にそれが空となって自分に理解されてくるのか、空だと思っているから空として認識されるのか、この自然という対象と認識している自分、そこの間においての空を学んでみてください。初めから空があってそれを空として認識するのか、自然があってそれを自分が空と認識しているのか、この自然界と空、これを自分なりの理解の仕方で進めていき、自分なりのこの世界の空の秘密を解釈するようにしていってください。
Hさん、あなたの空の学びにおいて、痛い痛くないとか、美しい美しくない、この二極というところから空の学びを進めていき、少しずつ二極を超えるということと空との間の矛盾や理解できないこと、必ずしも二極を超えても空ではないもの、いろんなものが分かるようになっていきます。二極を越えるという本質と空という本質、これはどこまでが同じでどこから違うのか、二極を超越しても空にならない価値観と、空になる価値観の違いがどこにあるのか、そこに取り組んでいき、自分なりに二極を超越できるようにしていってください。
Iさん、あなたの空の学びにおいて、仏教で教えている本質的な空という理解、これと本当のハイアラーキーやマスターが理解してもらいたいと思っている空という世界、この世界を感じとれるようにしてみてください。いわゆる仏教で教えている空も基本的には人間が理解して最大限の表現方法で人間に理解できるように書いた一つの表現方法に過ぎません。したがってもちろん本来のマスターや神が見抜いてほしいという本質は、空という言葉で現せない表現になっております。したがって人間の世界で身につけようとしている空と本当にマスターや天使たちが身につけてもらいたいと願っている空、この違いを理解し、少しでも神のレベルで理解させようとしている空を身につけるような心をもっていってください。
それではここまでにいたします、ありがとうございました。